インターロジック 特別インタビュー:代表取締役社長 原田光治 氏 AIクリエイティブエージェント「オートレイアウト」誕生、AIが拓くパーソナライズ印刷の新時代

広島のITコンサルティング会社である株式会社インターロジックは、富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社と共同で、AIクリエイティブエージェント「オートレイアウト」を開発した。まだ検証中であるこのソフトウエアを活用することで、1人1人の心に刺さるパーソナライズDMの制作の効率化が一気に加速するという。同社の原田光治社長に話を伺った。

インターロジックは、30年以上にわたりパーソナリゼーション印刷の市場開拓を追求してきた企業である。「パーソナライズされたDMといえば、QRコードと可変印刷を組み合わせた一人一人に異なるQRコードを発行し、購入に至らなくても、誰がどの商品に興味を持っているのかが把握できる仕組みをイメージされると思いますが、こうした取り組みも17〜18年前から始めていました」と語る原田社長。
長年のノウハウから、メルマガのクリックボタンにも個別の暗号を埋め込み、一人一人の行動を可視化する。そうしたパーソナライゼーションのノウハウを集約したサービスサイト「販促効果.com」も運営している。同サイトでは、DMやメルマガから個人を認識し、最終的にコールセンターへつなぐ『セールスマジック』シリーズも展開。「送る側は、名前の宛名とQRコードを用意するだけです。DM作成の作業に人が一切介在しないので、コストを抑えてスタートできます。長くご利用いただいているお客様も多いです」と語る。

現在のカタチにたどり着くまでには、試行錯誤してきた歴史もある。通販サイトのレコメンドをそのままDMに転用したパーソナライゼーションの取り組みも行ったことがあるが、「大失敗だった」と振り返る。一点単価の安い商材では制作コストが見合わないためだ。その反省を踏まえ、MAツール(マーケティングオートメーション)と連動させ、不動産など高額商材を扱う企業に特化した「ホットリードDM」へと舵を切った。
アクセス履歴を分析し、原稿内容も一人ひとり異なるDMを自動組版で制作するというもので、実際に大手不動産会社での実績も積んでいる。「ただし、利益率の高い業種に偏ってしまうという限界もありました」。

そこで2年前、富士フイルムグラフィックソリューションズと共にAIを活用した新しいソフトを開発した。それが、AIクリエイティブエージェント『オートレイアウト』である。
同ソフトは、顧客のアクセス情報や購入履歴をエクセルやスプレッドシートに連携させ、AIがデザインテンプレートの選定から写真素材の選択、レイアウトの生成まで、すべて自動で完結させる。「作業に人は一切介入しません」と原田社長は強調する。


「中古車ディーラーの場合、お客様の過去の購入履歴と直近のアクセス履歴をAIが分析し、その人が好む車の色や形に合った写真を、ディーラーが持つ中古車データベースから自動で選びます。一人一人まったく異なるDMが、ほぼ手間なく完成するわけです」。
実際に中古車ディーラーが車検DMを送ったところ、店頭への来場率が1.5倍に向上した。DMの効果を上げるには、発送するタイミングも重要になる。「お客様がアクセスした1週間以内にDMが手元に届くライトタイムの施策であることがポイントです。人手では24時間作業し続けても難しく、品質にばらつきも出てしまいます。自動化によりタイムリーかつ均一な品質が実現できるのです」。

現在、『オートレイアウト』については、高級車・中古車・不動産・高級寝具など印刷クライアント4社で実証を進めている段階にある。このソフトの誕生により、MAを開発するソフトウエア系企業と、組版機能を持つ印刷系企業という、これまで接点のなかった両者をつなぐ架け橋になると、期待を寄せている。

原田氏が現在、AIクリエイティブエージェント『オートレイアウト』のビジネスモデル事例の一つとして考えているのが、キャラクターやタレント、スポーツ選手などのコンテンツを活用したパーソナライズカレンダーである。
「お客様が好きなキャラクターを選び、家族の誕生日や記念日などを入れた世界に一つだけのオリジナルカレンダーを数千円で販売するというものです。AIが自動でデザインデータを生成して印刷まで完結させれば、十分、コスト的にも実現できます」。

さらに、一つのキャラクターデザインをもとに、AIが365日分のカットバリエーションを自動生成する“日めくりカレンダー”のしくみを開発中だ。「発注する人が“優しい雰囲気”とか“色の変化をつけて”といった指示を入れるだけで、AIが365枚分のデザインを勝手に作り、そのまま印刷できるエンジンです」。

こうしたパーソナライズグッズのコンテンツには、知名度の高いキャラクターを採用できれば成果が期待できる。しかし、有名キャラックターはライセンス契約のハードルが高い。そこで注目しているのが、“昭和の名車”や“地下アイドル”などニッチながら熱狂的なファンを持つ市場である。「例えば、スカイラインのイラストを使ったオリジナルカレンダーが作れるというだけで特別感を抱くニッチな市場があると思います」。

なお同社は、小学生時代から魚のイラストで知られる「UM Iくん」(西原海くん)とコンテンツ契約を結んでおり、UMIくんシリーズのイラストを、パーソナライズカランダーのオリジナルデザインの第1弾として採用する予定だ。

原田社長が今、印刷業界全体に向けて強く訴えかけているのが、BtoCビジネスの比率を高めることの重要性だ。
「対企業のビジネスはコンペや“合い見積もり”が当たり前で自分たちで価格をコントロールできません。一方、対消費者のビジネスはこちらが提示した価格で購入してもらえます。その分、付加価値を乗せやすいわけです」。
この理念を実践の場に落とし込むため、9月から四国で「四国ものづくり学校」をスタートさせる。印刷会社がクライアント企業と共に参加できるスクールで、売れる商品づくりと売り方を学ぶ。「クライアントの商品開発ができれば、それに関連して印刷の受注も生まれます。一方、印刷会社側も自社の商品を開発していくことができます。
将来的にはインターロジックが運営するクラウドマネージメント協会のネットワークを通じて全国展開していきたいと考えています」。

加えて、海外展開も視野に入れている。
「円安効果もあって、海外へ安く提供しても利益が乗せられます。物価が日本の5倍、4倍というところもあるので、価格を2倍に設定しても十分販売できるのです。こうした時代のタイミングを最大限に活かしていただきたいです」。同社では、40カ国に販売できる流通ネットワークを持ち、JICAの支援を受けた企業とも提携しているので、海外への販売支援も行っている。

原田社長は、「従来の印刷会社は、言われたものを作ることが100%でした。しかし、自分たちで作って売ることを始めることでクライアントに『こうやって売っています』と伝えることができるようになります。“売ること”を強みにできるかどうかが、今後の分かれ道になると感じます」と語っている。

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